この記事で扱う6本
エロス系作品賞には二つの部門がある。明るく前向きな作品に贈られるのがPINK、背徳的でハードな方向へ踏み込んだ作品に贈られるのがBLACKだ。同じ賞の名を持ちながら、並ぶ顔ぶれはまったく違う。受賞名は、FANZAの商品名に記載されているとおりに載せている。
| 年 | 受賞 | 作品名 | ブランド |
|---|---|---|---|
| 2012 | エロス系作品賞BLACK 金賞 | VenusBlood-FRONTIER- | Dual Tail |
| 2013 | エロス系作品賞BLACK 金賞 | 聖エステラ学院の七人の魔女 | アストロノーツ |
| 2016 | エロス系作品賞BLACK | 放課後3 〜狙われた純潔〜 | BISHOP |
| 2017 | シナリオ賞・エロス系作品賞BLACK | ChronoBox −クロノボックス− | NO BRAND |
| 2024 | エロス系作品賞BLACK | 鏖呪ノ嶼(おうじゅのしま) | CLOCKUP |
| 2025 | エロス系作品賞BLACK | 聖奴●学園3 | Liquid |
2012年 エロス系作品賞BLACK 金賞|VenusBlood-FRONTIER-
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受賞 | 萌えゲーアワード2012 エロス系作品賞BLACK 金賞 |
| ブランド | Dual Tail |
| 原作発売日 | 2012-04-27 |
| FANZA配信日 | 2012-07-13 |
| ジャンル表記(FANZA) | Windows11対応作品/デモ・体験版あり/辱め/触手/淫乱/ファンタジー/バトル/悪堕ち/ゲーム性に定評/シミュレーション |
| FANZA商品名 | VenusBlood-FRONTIER-【萌えゲーアワード2012 エロス系作品賞BLACK 金賞受賞】 |
Dual Tailが2012年に発売したシミュレーションだ。神話を下敷きにした世界で領地を奪い合い、戦いで下した女神たちを自分の側へ組み込んでいく。「悪堕ち」「触手」の表記はそのまま中身を指していて、相手が屈していく過程が物語と性描写を兼ねている。
評価がもっとも集まっているのは、ゲームとしての作りだ。誰をどう組み合わせて部隊を作るか、どの能力を噛み合わせるかを考える面白さがあり、最高難易度でも遊び尽くせる。仕組みを飲み込むほど手応えが増していき、何度も周回したという言葉が重なる。エロス系作品賞BLACKの金賞でありながら、真っ先に語られるのが戦略の楽しさだという点で、この6本のなかでも異色の一本だ。
長く続くシリーズの一本でもあり、ここから入って次の作品へ進んだ人が多い。作品を重ねても水準が落ちないという評価も並び、シリーズの入り口として名前が挙がり続けている。
こんな人に向く:腰を据えて遊べるシミュレーションを求める人、下した相手を配下に加えていく流れを楽しみたい人。
シリーズの位置づけ:本作より後に『VenusBlood −GAIA−』『VenusBlood HYPNO』『VenusBlood-RAGNAROK-』と続き、その後も新作が出ている長いシリーズだ。前の作品を知らないまま本作から始めて困らなかったという声が多く、ここを入り口に選べる。
2013年 エロス系作品賞BLACK 金賞|聖エステラ学院の七人の魔女
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受賞 | 萌えゲーアワード2013 エロス系作品賞BLACK 金賞 |
| ブランド | アストロノーツ |
| 原作発売日 | 2013-03-29 |
| FANZA配信日 | 2013-07-26 |
| ジャンル表記(FANZA) | CGがいい/黒髪/デモ・体験版あり/エロに定評/世界観がいい/ミステリー/女子校生/学園もの/アナル/お嬢様・令嬢/伝奇 |
| FANZA商品名 | 聖エステラ学院の七人の魔女【萌えゲーアワード2013 エロス系作品賞BLACK 金賞受賞】 |
アストロノーツが2013年に発売した学園ものだ。「ミステリー」「伝奇」の表記どおり、令嬢たちが通う学院と、そこに伏せられた謎が骨組みになっている。ヒロインの数が多く、一人ずつに話が用意されている。
性描写を看板に掲げた作品でありながら、まず褒められるのは物語のほうだ。謎の立て方と展開が最後まで持ち、話として楽しめたという評価が並ぶ。丁寧に描かれた絵を挙げる人も続く。
BLACKという部門名から想像するほど、終始ハードな一色ではないことも書いておきたい。土台にあるのは合意のうえで結ばれる関係で、選択肢の先にこの部門らしい展開が置かれている。どこまで踏み込むかがプレイする側に委ねられた作りだ。
かつてアトリエかぐやが手がけた学園・館ものを思い出したという声が、感想のあちこちに並ぶのもこの作品の特徴だ。あの頃の雰囲気を探している人が行き着く一本になっている。
こんな人に向く:物語も一緒に追いたい人、学院と館の薄暗い空気を好む人。
シリーズの位置づけ:続き物ではなく、この1本で完結している。
2016年 エロス系作品賞BLACK|放課後3 〜狙われた純潔〜
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受賞 | 萌えゲーアワード2016 エロス系作品賞BLACK |
| ブランド | BISHOP |
| 原作発売日 | 2016-02-26 |
| FANZA配信日 | 2016-03-11 |
| ジャンル表記(FANZA) | 巨乳/中出し/Windows11対応作品/デモ・体験版あり/エロに定評/乱交/コスプレ/女子校生/学園もの/汁/女教師/アナル/オナニー/Windows10対応作品 |
| FANZA商品名 | 放課後3 〜狙われた純潔〜【萌えゲーアワード2016 エロス系作品賞BLACK 受賞】 |
BISHOPが2016年に発売した学園ものだ。校内の生徒と教師が、一人ずつ主人公の側へ落ちていく。この分野を長く作り続けてきたブランドが、同じ名前で重ねてきたシリーズの一本である。
評価の中心にあるのは性描写そのものだ。この6本のなかで、そこを名指しで褒める声がもっとも厚い。ヒロインの人気が誰か一人に偏らず、全員に見どころがあるという言葉も重なる。
もう一つ挙がるのが、ブランドの過去作からの手入れだ。要素を足して盛る方向ではなく、形を整理して密度を上げている。同じ路線を長く続けてきたからこその変化で、ブランドの代表作に本作を挙げる人もいる。
こんな人に向く:性描写の充実を第一に求める人、このブランドの持ち味を知りたい人。
シリーズの位置づけ:『放課後』の名を持つシリーズの3作目にあたる(前作は『放課後2〜白濁のレッスン〜』)。前の作品から物語を追いかける作りではないため、本作から手に取れる。
2017年 シナリオ賞・エロス系作品賞BLACK|ChronoBox −クロノボックス−
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受賞 | 萌えゲーアワード2017 シナリオ賞・エロス系作品賞BLACK |
| ブランド | NO BRAND |
| 原作発売日 | 2017-05-26 |
| FANZA配信日 | 2017-05-26 |
| ジャンル表記(FANZA) | ハーレム/DL版独占販売/サイコ・スリラー/制服/恐怖・ホラー・伝奇物/デモ・体験版あり/バイオレンス/ミステリー/シナリオがいい/サスペンス/学園もの/Windows10対応作品/演出がいい |
| FANZA商品名 | ChronoBox −クロノボックス− DL版【萌えゲーアワード2017 シナリオ賞・エロス系作品賞BLACK 受賞】 |
NO BRANDが2017年に発売したホラーミステリーだ。同じ年のシナリオ賞も併せて受けている。舞台は学園でありながら、そこで起きるのは穏やかならざる出来事で、正気を手放していく人々が描かれる。
散らばっていた断片が終盤でひとつの形にまとまり、それまで見えていた光景の意味が入れ替わる。画面と音を使った運び方がその瞬間を押し上げ、声の演技を挙げる人も続く。発売から年を経ても、代表作として名前が出続けている一本だ。
BLACK側でも選ばれた理由ははっきりしている。強い描写が飾りとして置かれていないからだ。真相が明かされたあとで見え方が変わる作りになっており、猟奇的な場面までが筋の一部として組まれている。そのうえで、最後は一途な想いの物語として着地する。
こんな人に向く:謎を追いかける感触を求める人、張り詰めた空気の作品を好む人。
シリーズの位置づけ:続き物ではなく、この1本で完結している。姉妹記事「シナリオが強いエロゲ18本」でも、物語の側から本作を扱っている。
2024年 エロス系作品賞BLACK|鏖呪ノ嶼(おうじゅのしま)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受賞 | 萌えゲーアワード2024 エロス系作品賞BLACK |
| ブランド | CLOCKUP |
| 原作発売日 | 2024-05-31 |
| FANZA配信日 | 2024-05-31 |
| ジャンル表記(FANZA) | Windows11対応作品/DL版独占販売/恐怖・ホラー・伝奇物/デモ・体験版あり/バイオレンス/世界観がいい/ブラウザ対応/キャラクターがいい/シナリオがいい/Windows10対応作品/ダーク系/ノベル/複数視点 |
| FANZA商品名 | 鏖呪ノ嶼(おうじゅのしま)【萌えゲーアワード2024 エロス系作品賞BLACK 受賞】 |
CLOCKUPが2024年に発売した現代の伝奇ものだ。閉ざされた島を舞台に、呪いを扱う者たちが長年ほどけないままの因縁に片をつけていく。主人公が中年の男性という並びが珍しく、そこを推す声がとにかく多い。
評価は物語と人物に集まる。年季の入った男たちの生き様が中心に据えられ、離れていた縁と縁が視点を移すたびにつながり、全体の輪郭が浮かび上がる。ヒロインも添え物では終わらず、腹をくくった人物として描かれている。島に根を張ったしきたりと、それを支える音楽まで含めて世界が組まれている。
暴力の描写は強い。ただ、それは驚かせるために置かれているのではなく、この島の手触りを作るために必要な要素として支持されている。ブランドらしさを挙げる声も重なり、近年の代表作として名前が挙がる一本になっている。
こんな人に向く:薄暗い伝奇と復讐の物語を求める人、若さで押さない主人公に触れたい人。
シリーズの位置づけ:続き物ではなく、この1本で完結している。
2025年 エロス系作品賞BLACK|聖奴●学園3
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受賞 | 萌えゲーアワード2025 エロス系作品賞BLACK |
| ブランド | Liquid |
| 原作発売日 | 2025-09-26 |
| FANZA配信日 | 2025-09-26 |
| ジャンル表記(FANZA) | 3P・4P/CGがいい/Windows11対応作品/DL版独占販売/デモ・体験版あり/辱め/ブラウザ対応/学園もの/女教師/ダーク系 |
| FANZA商品名 | 聖奴●学園3【萌えゲーアワード2025 エロス系作品賞BLACK 受賞】 |
Liquidが2025年に発売した学園ものだ。校内で立場を握った側が、生徒や教師との関係を作り替えていく。シリーズが長く守ってきた枠組みをそのまま使いながら、前作から手を入れた一本にあたる。
真っ先に挙がるのは絵だ。題材は際どくても、線も塗りも配色も端正で、そこが評価の柱になっている。加えて、前作より物語の作りが整い、結果だけでなくそこへ至る過程を追わせる形になったところも支持されている。分量も十分で、シリーズの看板として期待される要素をきちんと押さえている。
こんな人に向く:絵の美しさまで求める人、このシリーズを追ってきた人。
シリーズの位置づけ:『聖奴●学園』の3作目にあたる。3という数字はついているが、前作の物語を順に追うための続編というより、同じ枠組みを作り直した一本として語られている。感想でも前作『聖奴●学園2』と並べ、そこから何が変わったかで評価されることが多い。過去作をまとめた『聖奴●シリーズ プレミアムパック』も出ているので、順に触れたい人はそちらから入れる。
どれからプレイするか
ゲームとして遊びたいなら
2012年『VenusBlood-FRONTIER-』。6本のうち唯一の戦略シミュレーションで、評価の柱もそこにある。長く時間を注げる一本を探しているならここだ。
物語を追いたいなら
2017年『ChronoBox −クロノボックス−』と2024年『鏖呪ノ嶼』。前者は謎解き、後者は因縁の始末に軸がある。『ChronoBox −クロノボックス−』は同じ年のシナリオ賞も受けている。2013年『聖エステラ学院の七人の魔女』も、話の面白さから先に褒められている一本だ。
性描写を第一に選ぶなら
2016年『放課後3 〜狙われた純潔〜』と2025年『聖奴●学園3』。前者はそこへの評価がもっとも厚く、後者は量と質の両方で期待を外していない。
絵で選ぶなら
2025年『聖奴●学園3』。塗りと配色の美しさが評価の先頭に来る。2013年『聖エステラ学院の七人の魔女』も絵を目当てに選ばれている。
ハードな描写そのものが目的ではないなら
2012年『VenusBlood-FRONTIER-』はゲーム部分が主役で、2024年『鏖呪ノ嶼』は物語と人物に評価が集まっている。2013年『聖エステラ学院の七人の魔女』は合意のうえの関係が土台にあり、どこまで踏み込むかを選べる。
プレイする順番があるもの
6本とも、この記事で扱っている作品から手に取れる。『VenusBlood-FRONTIER-』は長いシリーズの一本だがここから入る人が多く、『放課後3』と『聖奴●学園3』はナンバリングを持つものの、前作の物語を追いかける必要はない。残る3本は単独の作品だ。
体験版を試すなら
6本すべてに体験版が用意されている。題材の幅が大きい部門なので、気になった作品は先に体験版で手触りを確かめるのが早い。
BLACKで選ばれた6本を並べて見えるもの
まず目につくのは、評価の中心が作品ごとにばらばらだということだ。『VenusBlood-FRONTIER-』は部隊を組む面白さで語られ、『ChronoBox −クロノボックス−』と『鏖呪ノ嶼』は物語と構成で語られ、『聖奴●学園3』は絵で語られる。性描写そのものが評価の先頭に立つのは『放課後3』くらいで、残りは別の入り口から支持を集めている。ハードな部門という括りだけでは、この6本の中身は言い当てられない。
背徳と呼ばれているものの中身も、作品ごとに違う。戦って屈服させる関係、館と学院に隠された秘密、校内の力関係、正気を失っていく人間、島に積もった呪いと復讐。同じ賞を受けていても、暗さの出どころがまるでそろっていない。明るさという一点で方向のそろっていたPINK側と比べると、BLACK側はひとくくりにしにくい。
そしてもう一つ。強い描写が作品の芯とつながっている作品ほど、長く名前が残っている。『ChronoBox −クロノボックス−』は真相が明かされたあとに描写の意味が変わり、『鏖呪ノ嶼』は暴力が島の空気そのものを作る。刺激だけを取り出しても、この6本の評価にはたどり着かない。
明るい側を見たいなら、対になる姉妹記事「明るいエロスのエロゲ10本」がある。同じエロス系作品賞でも、選ばれる作品の顔ぶれはほとんど重ならない。ほかにも、総合力の頂点から選ぶなら「名作エロゲ11本」、物語で選ぶなら「シナリオが強いエロゲ18本」、恋愛の描き方で選ぶなら「純愛エロゲ10本」、キャラクターから選ぶなら「絵が良いエロゲ8本」、泣ける作品を探しているなら「泣けるエロゲ10選」がある。暗い側から入るなら、この記事を入り口にしてほしい。